本『Gene Mapper (ジーン・マッパー)』藤井 太洋著 Taiyo Lav
読み始めて最初に思ったのは、とても理系的な小説だなという事。
英語にルビで日本語訳、遺伝子工学に関する化学用語、インターネットスラング、プログラミング知識これらが全編を通して豊富に出てくる、今までに無いタイプの近未来小説だった。
逆に言うとこのような知識が無い人だと、展開について行くのが少々厳しいかもしれない。
自分は少なからずSEをやっていたので、プログラミングの構成表現の所はしっかり描写されてるなと少し驚嘆しながら読んでいった。
世界観の表現は日本に留まらず、主にアジア(カンボジア・ベトナム)で展開し、さらに拡張現実と現実を行き来するので幅広く感じた。
今年ベトナムに行ったばかりなので、電線のグチャグチャ感や街並みが頭の中で容易に想像でき、「あの辺のあの建物にキタムラがいるのかな?」という風な自分の中での仮想空間を読みながら妄想する事もあった。
また、自分が今生きているこの時代が過去の事として細やかな所作やインターネット空間が表現されているのは、不思議な感覚を覚えた。
総じてこれが処女作とは思えないほどの出来栄えで、とても楽しめた作品。
次回作の予定もあるようなのでそれも楽しみである。
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