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映画『アウトレイジ』【評価】A 北野武

映画『アウトレイジ』(2010) 109min 【評価】A 291012

ヤクザの世界をストレートに撮っている。シーンのフェードアウトの仕方(カジノのカーテンを閉めながら暗転等)が印象的だった。

1人の下っ端チンピラが兄弟分のボッタクリバーに乗り込んで(騙されて?)、それに関わった者が粛清されていくというカルタシス。人を利用し、利用される関係。組織内部で起こる下克上。

大使館カジノ、ボッタクリバー、ヤクの密売、ショバ代の上納などヤクザ仕事の世界を映像として垣間見れるのは興味深い。

暴力表現は少々キツ目だが、それほど悲惨さは無い。暴力だがコメディっぽさも交じる暴力なのだ。

たけし映画ではおなじみの黒人描写と英語。 加瀬亮が演じる英語堪能なヤクザは、インテリヤクザをモロに出していた。 あと、椎名桔平演ずる不思議なオーラを纏うヤクザが特に良い演技してるなと感じた。

しかし、自分的にはこの映画には何か物足りないなと感じる所があった。たけし映画と言えば無意味なシーンとそれに不髄する間が秀逸だったのだが、外国を妙に意識していてわかりやすい映画になりすぎていたのではないかと思う。悪く言うとヤクザ紹介ビデオみたいなものである。

エンターテインメントとしては最高だが、芸術という観点から見ると悪い評価になる作品だった。

もう1点、最後に言いたいのは「全員悪人」という宣伝コピー。これが頭に残っていたので観ていても「あぁ、結局こいつも殺されるんだろうな」というのが浮かんでしまい素直に楽しめなかった。このコピーは反則じゃないだろうか。

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