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映画『クロッシング』CROSSING 【評価】A キム・テギュン

映画『クロッシング』CROSSING (2008) 107min 【評価】A 190211

今、タイのメディアは日本よりも韓国スターを猛烈にプッシュしている。 テレビCM、雑誌の表紙、映画ロケ、来タイ等メディアに韓国が登場しない日は無い。 私は、このタイのメディアによるごり押しとも言える売り出し方にうんざりしている。

しかし、商業的には日本と違い大成功をおさめているのは間違い無い。 そんな韓国の良い面(上っ面)を見てきたタイ人と一緒にこの映画を 見たのだが、「えっ、北朝鮮てこんなに貧しいの?」と言っていた。 どうやら、今まで北朝鮮については韓国と同じような感じでただ 上の方に位置している国ぐらいにしか思っていなかったようなのだ。

また、見終わった後は「世界にはこんな貧しくて食べたくても食べられない人がいるのだから、もっと食べ物を大切にしなくてはいけない。」という日本人なら子供のころ、一度は教わったであろう感想も聞いた。 普通、日本人は学校の授業で飢えに苦しむ金日正一族が率いる独裁国家や日本人を拉致した国として教わるであろう。 そのように国によって教育は違うんだなと再認識させられた映画でもある。

内容は、北朝鮮からの脱北者から取材した事実をモチーフにしているとの事。 北朝鮮の庶民の窮状とそこから脱出を試みる人たち。 その過程を3人の貧しい家族にスポットライトを当て、父と息子の会いたくても会えないもどかしさを観る者に与える。 特に息子役の子は、難しい感情表現(犬を食べるシーンや国境を彷徨う所)を見事に演じていた。 ラストもありがちなハッピーエンドにせずバッドエンドにしたのも評価。 この映画は、北朝鮮の現状を世界の人が知るのに良い映画。 いかに日本は平和で恵まれてるかというのも考えさせられる。

日本の戦時下に兄と妹の絆を描いた「火垂るの墓」に近いかな。

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