本『タイ 中進国の模索』末廣 昭著 岩波新書
タイの“黄色のシャツを着たひとびと”(PAD)と“赤色のシャツを着たひとびと”(UDD) をそれぞれ王室擁護派と王室ないがしろ派や体制派と反体制派というように 考えていた人は、多いのではないだろうか。 私も本書を読むまではそう思っていた。 そこを単なる二項対立として区別するのではないという持論を 展開していくのがこの本のはじまり方である。
新書だと思って甘くみていると後で後悔する本である。 政治、経済、王室、社会について学者の視点から解説しているが、 そこまで堅苦しく書かれているわけでは無く、前著を書いた1993年から 2009年までのタイの経緯を背景を含めて比較的分かりやすく書いている。
本書の出版は2009年8月なので2010年の赤服騒乱は含まれていない。 赤服騒乱が含まれている著者の次回作を私は大いに心待ちにしている。 次回作はまた16年くらいかかるのだろうか…
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